無響室 / 音響試験室の防音工事

〜無響室・音響試験室の防音設計・防音工事〜

無響室をはじめとして、研究室の防音、遮音に対するオーダーは一層厳しいものとなります。そこにひとつの漏れがあってはなりません。【アコスパネカット】は厳しい要求案件を短い工事期間にて実現します。

無響室 / 音響試験室の防音工事4つのポイント

①遮音

外部からの騒音や空調設備などの騒音がなく静けさを保つこと。

②防振

個体伝搬音を防ぐ事で遮音性能を向上する。

③室内音響性能

無響室の室内音響性能は、逆二乗特性の成立距離により決まる。

④室内騒音

室内の静けさを保つ。

①遮音

無響室の場合は、外部、隣戸からの騒音対策が、必要不可欠となります。設計目標とする無響室内暗騒音レベルは、測定する音源の最小レベルより-10dBの室内騒音が理想です。防音構造は、外部・隣戸からの騒音レベルを測定あるいは予測し、この目標とする室内騒音より、遮音レベルを計算し設計します。

部屋の防音性能は、D値という遮音性能の等級で評価されます。D値と人の聞こえ方(感じ方)の対応はおおよそ下記表のような関係になっています。これにより、隣室の使用条件によって必要な防音性能は変わりますが、D-65~D-75程度が目標値となります。

遮音性能D値とは

遮音性能の評価として、図-1に示すJIS A 1419-1(2000)『建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法−空気音遮断性能』に示される空気音遮断性能を評価するための基準曲線を用いて評価します。各周波数における測定値をプロットし結んだ曲線に対して、等級曲線を全て上回る等級曲線をその等級と評価します(各周波数2dB許容)。図-1で示した例ではD-40となります。また、遮音等級D値について表-2の評価表(日本建築学会推奨基準)を用いて評価します。

図-1 空気音遮断性能(遮音等級曲線)
表-2 空間平均音圧レベル差に関する適用等級

②防振

音は空気を伝播してくるもの(空気伝播音)と壁・床・天井などの物体内を伝播するもの(固体伝播音)があります。固体伝播音は、その物体が振動することで音が伝播するので壁などを厚くするだけでなく防振構造(浮遮音層)が必要となります。特に無響室のような高度な防音性能が必要な場合は、防振構造と言って部屋を浮かせる必要があります。また、地下鉄や地上の鉄道、周辺道路の振動などの影響がある場合も、防振対策が必要となります。

具体的には、防振ゴムを使用して床や天井を浮かせる構造となり、防振と言ってもただゴムを挟めば良いと言う訳ではなく、建物や選定した遮音構造に応じた適切な防振ゴムの選定が必須となります。即ち適切な防振設計が部屋の遮音性能に大きく影響します。適切な防振ゴムではない、あるいはグラスウールを敷いただけの浮き床の場合、低音域で共振してしまい重低音は聞こえると言う現象が起きます。仮に遮音性能はD-65を満たしていても、D値は125Hzからの規格ですので、それ以下の周波数はかなり悪い遮音性能となってしまいます。

遮音・防振と言っても建築物の条件や使用する材料について、音響的に専門的な知識や経験が必要となります。

③室内音響性能

無響室の室内音響性能は、逆二乗特性の成立距離により決まります。逆二乗特性とは、室内の反射音が無い理想的な空間(自由音場)において、点音源から放射された音の音圧レベルが倍距離ごとに6dBの割合で減衰していく特性です。しかし、実際は完全な自由音場とはならないため、音源からの距離が遠くなると逆二乗特性が成立しなくなります。逆二乗成立距離が成立する距離が長いほど無響室の性能が良いということになり、この逆二乗成立距離で無響室が評価されます。

無響室の性能は、逆二乗特性成立距離の長さを測定し評価されます。無響室では、部屋中央に音源を置き、半無響室では、半空間放射を想定し、部屋中央の床に音源を置き測定します。

測定対象物が、大型の機械や車両の場合、床面を吸音することが難しいため半無響室とする場合があります。また、予算や建築的な条件、大型の物も小型な物も測定する場合、床は吸音ユニットを敷き並べるようにして無響室としても使えるようにする場合もあります。半無響室の場合は、無響室に比べ測定精度がやや落ちますので、可能な限り無響室にすることをお勧めいたします。また、予算の関係上、吸音構造に吸音楔を使用していない簡易無響室もありますが、測定精度が落ちますので見積段階で注意が必要です。

④室内騒音

室内騒音の設計目標は無響室では、NC-15~20程度です。室内騒音については設置予定場所の環境騒音を事前調査し十分検討した上での設計が必要となります。

無響室 / 音響試験室の防音工事の流れ

お客様のご相談・お申し込みから、設置・施工完了までの流れをご説明します。
下記の流れは一例です。そのほかに必要な工程などがありましたら、ケースに応じて対応することも可能です。

STEP1

ご相談

音に関するお悩みや防音工事に関することなら何でもお気軽にご相談ください。
また、お部屋の目的やご要望をお聞かせください。

STEP2

計画・設計

お部屋の広さ・構造・音源の種類など各条件をもとに、音響性能を綿密に考慮した基本設計案を作成いたします。

STEP3

ご提案

ご要望・ご予算に合わせ、最適なプランをご提案させていただきます。この際に遮音性能、環境騒音など音響諸条件について計算してご説明いたします。

STEP4

ご契約

設計案・お見積書を十分にご検討いただき、ご契約をさせていただきます。

STEP5

施工

経験豊かな弊社スタッフが、責任をもって施工をいたします。

STEP6

音響測定

設計通りの音響性能が担保できているか測定して確認いたします。

STEP7

アフターケア

施工後のメンテナンスは、万全の体制でおこないます。

無響音室 / 音響試験室の防音工事実績

旭中央病院聴力検査室、脳波測定室防音シールド工事1991年12月
都立広尾病院検査室電磁波シールド工事1992年3月
都立杉並工業高等学校シールドルーム、無響室工事1992年4月
市立川崎工業高等学校シールドルーム、無響室工事1992年8月
ジェコー無響室工事1992年9月
豊橋科学技術大学無響室工事1992年10月
旭中央病院ICU X線遮蔽工事1992年12月
富士通国際情報社会科学研究所無響室工事1993年1月
三菱自工川崎工場性能試験室防音工事1993年2月
日本航空成田ジェットエンジンテストセル防音工事1993年2月
横浜液済会病院心音室防音シールド工事1993年3月
群馬大学研究室シールドルーム工事1993年9月
三菱自工丸子工場エネルギー棟騒音対策工事1993年10月
立正大学研究室音響工事1993年12月
水産研究所研究室防音音響工事1993年12月
東京工芸大学研究室防音工事1994年1月
商船大学音響実験室防音音響工事1994年8月
沖電気工業試験室電磁波シールド工事1994年9月
田中病院聴力検査室防音工事1994年10月
高崎国立病院脳波検査室シールドルーム工事1995年1月
国立ガンセンター特別病室防音工事1995年1月
東邦医大検査室電磁波シールド工事1995年2月
東京女子大学心理研究室防音シールド工事1995年3月
富士通研究所音声装置試験室防音工事1995年3月
ミネベア軽井沢工場研究室無響室工事1995年4月
佐久市民病院検査室防音シールド工事1995年9月
日本ビクター横浜工場ビデオ研究所試験室防音音響工事1995年11月
国立相模原病院聴力検査室防音工事1995年12月
山水電気研究室無響室工事1995年12月
東芝技術研究所無響室工事1996年1月
埼玉ガンセンターCTスキャナー室電磁波シールド工事1996年2月
神奈川工科大学研究室防音工事1996年3月
日立建機研究室無響室工事1996年3月
成蹊大学工学部音響心理実験室防音工事1996年4月
航空宇宙技術研究所流動装置実験室防音工事1996年8月
中央合同庁舎脳波検査室シールド防音工事1996年12月
都立荏原病院脳波検査室防音シールド工事1997年1月
明星電気研究室無響室工事1997年2月
日本ビクター八王子工場試験室無響室工事1997年3月
東京電気秦野工場研究室無響室工事1997年3月
富士通中原工場試験室無響室工事1997年4月
東芝柳町工場試験室無響室工事1997年11月
日通工試験室無響室工事1997年12月
IHI瑞穂工場試験室防音工事1998年3月
HFD東四つ木パネル工事&シールドルーム工事1998年5月
サンボイス無響室工事1998年10月
航空宇宙研究所無響室工事1999年1月
富士通無響箱1999年9月
東大地震研究室振動試験機ブロアー室騒音対策2000年5月
鷺宮製作所簡易無響室工事2000年7月
三菱自工川崎工場第1性能7,9、11号性能試験室・半無響室改修工事2000年8月
舞鶴(11)雁又試験運転場計測室防音内装工事2000年10月
日本大学生産工学部簡易無響箱2001年10月
国立公衆衛生院防音シールドルーム工事2004年12月
麻布大学防音室 電気生理検査室2007年11月
千葉大学 研究室 防音室2007年12月
タイ・アルファナ組立式半無響室2009年10月
JUKI半無響室 消音ダクト工事2009年10月
八王子第五中学校 聴力検査室2010年3月
レノボジャパン 無響室2010年9月
日立基礎研究所 電子顕微鏡棟 防音工事2010年12月
日本原子力研究開発機構 防音クリーンユニットの製作2014年11月
三菱ふそうトラックバス 防音試験室2019年6月
JVCケンウッド・公共産業システム 無響室2019年7月